「職業柄ね」
という言葉が、どうも好きじゃないんです。
いや、別にキライ、
というほど意識しているわけじゃないですけど、
職業柄ね、って人が言うときって、
なんだか自尊心と卑下感が混じったような感じで、
イヤラシイと思うことが多い、って思うんです。
しかし、一方で、
そう言わないと、しっくりこないというか、
言い訳できないようなことっていうのもある。
しかも、場合によっては、
それが思わぬメリットをもたらすこともある。
例えば、ボクが女性の下着売り場に日参していたとします。
チラリとこちらを見る店員、
「またあの人よ」
その目線には明らかな嫌悪感。
そんなときには、先手を打ってこちらから白状するわけです。
「いや、すいませんね、職業柄、見ておかないと、いけないもので」
と、言った瞬間。
たぶん店員はひとりで合点して、
なんなら最近の店頭の動きなんか説明してくれたりするわけです。
それまでの「変態疑惑」が一気に解決する魔法の言葉
それが、「職業柄」。
しかもありがたいことに、こういう場合、店員さんは
それ以上深いことは聞いてきません。
聞いちゃいけない、って思うんでしょうね。
これは、心理学用語でいうところの「屈折した同情」です。
【カービング シンパシー】
…………
この人は別に、見たくて見ているわけじゃない。
でも職業柄、仕方ないんだ。
ほら、そこのショーツを探しているおねえさん、
あるいは、
ブラジャーの特売コーナーに生き埋めになっているおばさん、
この人をそんな目で見ちゃだめ、
だって、だって、だって、
この人は、【職業柄】なんだから〜♪
ほら。
こうなると、もう付き合う寸前ですよ。
変態疑惑が恋愛疑惑に。
恐るべき職業柄の魔力。
だからまあ、何が言いたいかと言いますと、
大人語のひとつに数えられる
「職業柄ね」
は使い方ひとつでどうにでもなるから、
みなさん気をつけましょうね、
と、
そういうことです。
で。
この間、職業柄中吊りを見ていたら、
久々のヒットがありました。
それは、川崎市にある市立美術館の中吊り広告。
どうやら、川崎市で出土した美術品を一同に集めたの展覧会が、
開催されているようでした。
日程
場所
開館時間
料金
といった基本的な事柄から、
出土品の一部の説明まで、
なかなか盛りだくさんな内容の広告。
しかし、そのビジュアルの大半の面積を占めるのは、ひとつの
はにわ
でした。
はにわ。
お墓のまわりにぐるりと飾り付ける、はにわですね。
そして、そのはにわには、
吹き出しが付いていたのです。
漫画で見かける、吹き出しですね。
そのはにわは、無表情な顔をこちらに向けながら、
「吹き出し」でこう言うのです。
【ボク、川崎から出たよ!】
……。
これは、創った人というより、
これに許可を与えた役所に人に
表彰状をあげたいです。