この週末はですね、落語に行ったんです。
もともと落語家になりたかった時期もあったくらいですから、
というか、いまも落語会に行くたびに、
「会社畳んで落語家目指そうかな」
なんて思ったりもするんですが、志の輔さんの独演会に行ったんです。
落語は、誰かれなく乱れ聞きに行くんですが、特に志の輔はサラリーマンあがりですから、
余計にその思いもつのるんですね。
ところが。
話は変わって、ようやく到着したよみうりホールにで自分の席に近づいた瞬間、
「あちゃー」
だったんですよ。
なんてったってデブなんです、隣が。
んもう完全にデブでね、肥満という表現を超えて、
あるいは病気じゃないかと思うくらいなんですよ。
よみうりホールってのも、それほど席が広くないですから、
ボクの席の腕置きの下から脂肪分が120%くらいはみ出ているわけなんです。
遠目に見える。
こうなると、まず席に座るときに緊張しますよね。
だって、脂肪を踏んじゃ悪いじゃないですか。
慎重に、幸い右が小柄なおばさんだったので、極力体重を右に移動して座るわけなんですが、
座席順を数えると、向かって右から「デブ、脂肪、ボク、おばさん」と言っても過言ではない状況ですよ。
明らかに、「子連れ」と同様です。
それで隣のデブさんは開演まで漫画を読んでいたわけですが、
普通の漫画本のはずなのにどう見ても「マメ本」ですよ。
『北斗の拳』の弱そうなこと…。
しかも明らかに、ハートに感情移入してましたからね。
こっちが「アベシぃ!!」ですよ。
んもう。
まあ、いいんですけどね。
それより気になったのは、舞台の横で舞台に背を向けて客席を監視している係員さんです。
サッカーとか芝居とかならね、後ろ向いてちゃほぼ内容がわかんないですから、
まあどうにでもなるんですが、落語はダメですね。話芸ですから。
後ろ向いてても、おもしろいものはおもしろいわけで。
でも係員という立場上、ゲラゲラ笑うわけにはいかないんです。
別に笑っていいと思うんですけどね、ボクは。
でもそのボクの目の前にいた係員は、笑ってはならない、と信じている係員だったんです。
だからこう、ありとあらゆる笑い止めを試すわけですよ。
つねったり
つまんだり
たたいたり
あげくの果てに、ハンカチ取り出して鼻をつまむわけですよ。
果たしてそれは効果があるのか、はなはだ疑問なわけですが、
ボクとしては志の輔の落語と同じくらい、その人が気になるんですよ。
そしたらやっぱり鼻をつまむのは効果がなくて、
かえって笑い声が漏れそうになって、
(そりゃそうですよね、ひとつ漏れ口を自分でふさいでいるわけですから)
それをまた止めようとしてがんばるもんだから、
ひとりで溺れ死にかけている青年、みたいになっているわけですよ。
平地の、舞台の袖でですよ。
いくら夏だからと言っても、そんなところで溺れられちゃあ、
これは笑いますよ。
もう、なにやってんだって。
そのうち志の輔の落語もほどほどにそっちばっかり目が行って、
そしたら遂に観念したのか、最後に、メガネを外したんですよ。
いさぎよく。
どうやら笑いをこらえるのをやめて、
遂に監視員であることを、あきらめたんですね。
よし、笑ってやろう!今日はバイト代、いらない!みたいな。
え?
それじゃダメじゃないかって?
ちゃんと働けって?
いやあ、許してあげましょうよ、
だって、「視力」をつくした結果なんですから。
そんな落語の日曜日。