正月に、友人の森山くんとふたりで靖国神社に初詣に行きました。
露店がすごいですね。
人もすごいけど、露店がすごい。
もはや綿菓子はなくなりましたね。
スーパーボールすくいもありません。
金魚すくいはかろうじてありましたが、お客さんはいなくて、
金魚も釣られる心配がないからか、実に悠々と、
まるで自分を鯉だと勘違いしているのではないかというイキオイで泳いでいました。
僕は露店でパイ投げをしたら絶対儲かると思っていて、
もしそういうお誘いを受けたら、すぐに実践するつもりなのですが、今年もまだパイ投げで勝負している露店はありませんでした。
ところで。
勝負といえば、どうやらネーミングと見せ方について、
そろそろ勘のいい店主は一工夫し始めたようです。
いよいよ露店も編集の時代ですよ。
結局売りが立つのはお好み焼きとかたこ焼きとかりんご飴とか、スタンダードなものばかり。
あ、そういえば、フランクフルトもなくなりましたよね。
コンビニで手軽に買えるからかな。変わりに串焼きがやたらと目立ちます。
話を戻して。
それで、先に言ったようなスタンダードなお店は同じ筋にゴマンとあるので、
差別化をはからないといけないわけですよ。
そこでネーミング勝負となる。
今年の靖国露店闘争で一番人気を誇っていたお好み焼き屋は、その名が
「豚玉焼」
いいですね。
そもそも豚玉に「焼」がいるのかという素朴な疑問はありますが、
「豚玉」で止めると、
「お兄ちゃん、エビ玉もあるの?」
なんて聞かれちゃいますから、「焼」をつけたのでしょう。
「豚玉焼」がお好み焼き露店部門では圧倒的一番人気でした。
具材をあえて表に出す作戦。
家具屋といわずに、椅子屋、というようなものですね。
お見事です。
さて続いての部門は、たこ焼き屋部門。
露店の定番ですね。
こちらも、10数軒がしのぎを削っていました。
この部門は、数年前までタコの大きさでアピールする手法が流行っていました。
たこ焼き器の前に、ずらりと大きな切り身のたこを並べておいて、
さもそれが入っているかと思って買うと、
「あれは見せタコかい!」
となる、あの手法です。
風俗店の写真パネルの応用ですね。
露店の店主、お顔を拝見すると毎日風俗店に通っているような人も散見されますから、
きっとそこからヒントを得たのでしょうね。
「あの瞬間、女の子がタコに見えたんですよ!」
もし露店会社が株式上場するようなことがあれば、
「会社を変えたこの瞬間!」のインタビューでは、きっとこう答えるでしょう。
しかし。
もはやその手法は通用しません。
そこで、やはりネーミングですよ。
たこ焼き部門にもネーミングの風はやってきた!
今年の靖国露店闘争で一番人気を誇っていたたこ焼き屋は、その名が
「明石の大タコ」
いいですね。
もはやたこ焼き屋だとは書いていない。
もしかしたら、タコの姿焼きかもしれない。
しかし、そんなリスクを犯してでも、あえてネーミングで勝負に出たこの店主に花丸です。
この店も流行ってましたねえ。
行列です、行列。
強烈に行列。
しかもどこにも明石の大タコが入っているとは書いてありません。
「伊予のデコポン」「紀州の梅」「富山の薬売り」などと表現としては同類です。
しかし、人はこれを見て、
明石の大タコが入ったたこ焼き屋さんだろうと、勝手に推測して、
勝手にほかより美味しいだろうと思うわけなのですね。
わかりやすさばかりが評価される、最近の風潮に一石を投じたい!
そんな店主の気概までもが、感じられます。
さて、いよいよ最後の部門になりました。
それは「ベビーカステラ部門」です。
これも露天の定番ですね。
しかし、今回私がMVR(モスト バリュー 露店)を贈呈した露店、
それが実はこの手法であります。
今回この部門にエントリーした露店は4店舗ほど。
もともと激戦ではありませんが、
それでも、他の追随を許さない、圧倒的一番人気を誇っていたベビーカステラ屋がありました。
それは、名前が変わっているのではありません。
カステラ自体も、ほかと同じに見えます。
味もきっと同じでしょう。
しかし、集客力は圧倒的に強い。
その店はなんと、
「焼き子と売り子がともに高齢のおばあちゃん」
だったのです。
いやあ、盲点ですねえ。
おばあちゃんが焼く、腰の曲がったおばあちゃんが袋に詰める。
シワシワの手に500円を渡す。
「ありがとさん」と含蓄のある声で御礼を受ける。
確かにスピード感から言うと、ほかの店の方が元気もいいしテキパキもしている。
おばあちゃんは要領を得ない部分もあるので、
よく品切れ(今焼いてます状態)にもなるし、待たされもする。
しかし、人はそれでもここに行列をするわけです。
「古いものを見直そう」なんて機運が高まっていますが、
その流れをうまく受けた手法。
しかもこの店主は、見えないところで、札束を数えておけばいいだけですから、仕事も楽チン。
考えられています。
一方、おばあちゃんも、いつもは年賀状をボーっと見るか
餅を喉に詰まらせるかくらいしかすることがなかった正月に
新たな刺激がうまれるわけですから、とても楽しそう。
いきいきしています。
高齢化社会を見据えた、この見事な露店の運営振りに、
2008年、まずは最初の一本を差し上げます。
お見事!
以上、靖国露店闘争レポート、現場より、団がお届けしました。