ボクの近所の散髪屋さんは大変に地域に詳しくて、
毎回行くと、イロイロな情報が入ってくるんです。
例えば、「あそこのパンは美味しいですよねえ〜」というと、
「ああ、あそこはオーナーが小売協会の副会長もされていて、
どうやら若い時分にドイツで修行されていたようですね」
と言うし、
「このあたりのマンションは庭の形が似てますよね」というと、
「ああ、あそことこことそことあれは、同じSさんという方がオーナーですからね。
元々Sさんの実家は畑をされていたんですが、20年前に角のマンション、
あれを建てられて、そこから、もう農業は厳しいということで、
どんどんマンションに替えられていったんですよ」
と言う。
すなはちボクは、散髪に行くたびに、
むくむくと地域の事情通になるというわけなのです。
テレビで名前を聞くような人の家の場所も次々と判明するし、
地元のお祭りになぜ水前寺清子さんが毎回来るのかにも、
いまやそのネタで30分話ができるくらい詳しい。
そして、一昨年まではそのお祭りにゲストで来ていた杉本彩さんが
なぜ昨年から呼ばれなくなったのか?についても多少詳しい。
こうやって、ボクの頭の中には、きっとどこで役立つこともないであろう情報が
次々とインプットされていくのでありました。
そんなわが町に、最近レンタルのTSUTAYAができました。
もちろん今回の散髪屋での話題はそのTSUTAYA。
「いやあ〜できましたねえ、遂に」というと、
「そうですね。もともとの材木屋さんも随分とがんばっておられたんですが、
マンションにしちゃいましたね」と言う。
そなんです。もとは材木屋だったんです。
しかしもともと材木屋だったことは、
ボクも毎日前を通っていたので知っていて、
「そうみたいですね」なんて相槌を打ちました。すると、
「どうやら代替わりをするときに、親子で話し合って、それで
材木屋をたたむことを決心されたようですよ。
だから今の新しいマンションの名義人であり、
TSUTAYAのオーナーになっているのは、息子さんみたいです」
と追加情報。
いやあ、それは知らなかった。さすがは事情通。
そこでボクもさらに合いの手を入れようと、
「だけど、隣の洋食屋さんは大変でしょうね。
まったく、日が入らなくなってしまいましたもん」
と振りました。
そのTSUTAYAの横には、もう何十年と続けておられるであろう
老夫婦が経営する洋食屋があるのです。
そこが、大きなマンションのせいで完全に日光がシャットアウトされてしまったんですね。
するとオーナー
「ほんと、そうですね。気の毒なことです。
あそこは一階がレストランでご夫婦は二階に住まれていますからね。
二階には二部屋あるんですが、TSUTAYA側が寝室ですから、
朝も晩も、日が入らないんでしょうね」
などと言う。
これには驚きです。
まさか隣の洋食屋の老夫婦の部屋の使い方まで押さえているとは、
この人、いったいぜんたいどんなすごい情報網やねん!
と思い聞いたんです。
「いやあ、ホントによくご存知ですよね。
その間取りは誰に聞いたんですか?」
すると、
「あー、外からのぞいたら分かったんです」
だって。
あかんがな!
そんなこんなの、土曜日の散髪。
注意)参考までに申しますと、のぞくというのは表現が過激ですが、
ちょっと見れば誰でもわかることでした。