
境界線の目印
本人たちは出来るかぎりスローな暮らしがしたいと心底願っているのに、その意志に拘わらず、何故か再び怪しい暗雲が我が家に垂れ込めてきてしまったようです。
しかも今回の事件はちょっと深刻かもしれません・・・。
5日前のことです。
食料品の買出しとレンタルビデオ店にDVDを返却するため(数は少ないですが、どういうわけか日本の映画も有るんです、いったい誰が借りるの???)、このあたりでは一番大きな町《リベリア》に向かおうと午前11時にカミさんとボロラン号に乗り込み、我が家のゲートを押し開けて表へと出ると・・・、どう言う訳か大勢の人間と、トラックを含む工事車両3〜4台がボロラン号の経路を塞ぐかのように屯しているではないですか。
家の西側に続き、東側の工事もいよいよ本格化するようです。
彼らは多分そのスタッフたちなのでしょう、ゆっくりと通路を開けてもらいながら車を進めて行き、片手を上げ振り向く人々に挨拶するのですが・・・、どう言う訳か皆知らん振り・・・?。
ったく!!、感じが悪いったらありゃしない!!。まっ、こちらも急いでいるので余り気に留めずにそのまま通り過ぎ、目的地リベリアを目指しました。
そして4時間後、再び我が家へ戻ってきた頃には、もう何処にも彼らの姿は見当たりませんでした。
ゲート前に車を止め、助手席から降りたカミさんが門を開錠するため、鎖に繋がれた南京錠をガチャガチャと持ち上げ・・・、何気なく敷地の中を覗き込むと・・・、
「あっ!!、・・・・・・???。」
鍵を持つその手が急に止まり、怪訝そうに地面を凝視しています。
「どうしたの?。」
問いかける私に振り返りながら、戸惑い顔でゲートの中の地面に向かって右手の人差し指を指し示し、斜に首を傾げ、眉間に皺を寄せて片眉を引き上げるように、
「ここに杭が打ってある・・・、赤いペンキで塗られた・・・、それにゲートにも・・・。」
「ん・・・???。」
何のことやら理解できず、とりあえず車を敷地内に入れてから車を降り、カミさんの指し示す場所まで戻ってみると・・・。
「あっ・・・・!!。」
思わずカミさんと同じ声を低く呻いてしまいました。
地面には、測量時よく用いられるしている上部が赤いペンキで塗られた木杭か鉄筋のような物が打ち込まれていて・・・、そしてゲート下部にも赤い・・・《蛍光オレンジ》の塗料がマーキングするように吹き付けてあるでは有りませんか!!。
慌てて他の敷地内も捜してみると、ゲートから西側に約20mほど進んだ地点に、やはり2mほど敷地内に入り込んだ場所にもう1本、そしてその近くの有刺鉄線の支柱にも250と書かれたオレンジのペイントが・・・。
さらに、敷地外ではありますが、周辺には無数の杭が打ってあります、そして先ほど帰ってきたときに、我が家へ向かう車の私道の真ん中に何やら50cmほどの杭が立っていたことを思い出し、急いで確認しに行くと・・・、やはり今度は上部が赤く塗られた木の杭がこれ見よがしに打ち込まれているではありませんか!!。
間違いありません!!、これは測量の・・・、境界線の目印です!!。
私たちが不在のときに、堂々と我が家の敷地内に不法侵入し、まるで「これからは此処までがこちらの敷地だ!!」と誇示するかのように、この赤い杭を討ち込んでいったのです・・・!!、誰かが・・・。

なぎ倒された木々
この印から推量すると、敷地の北側と西側が1〜1.5mの幅で60〜70m以上も削り取られてしまう計算になります。
不法侵入によって杭を打ち込まれた怒りと、土地を奪われるかもしれない不安、それに不動産詐欺に合っているのかもしれないと言う事への憤りで、まるで糠床を深く探ったその手で頭の中をグチャグチャに掻き回されたがごとく、何もかもが脳内発酵させられて、しばし思考停止状態に陥ってしまいました。
しかし、そんな悠長な事は言っていられません。
とにかく、まずサンホセの友人に連絡を取って事情を説明し、この家の購入時にお願いした弁護士と連絡を取ってもらうよう頼み、翌日、私たちは売買仲介に当たった不動産会社を訪ね、事のあらましを伝え、どう状況判断したら良いのか尋ねました。
この不動産会社は、アメリカの有名な不動産会社の看板を掲げたココでも老舗の会社なのですが、ここの女性責任者《リンダ》も慌てて彼方此方と電話を掛けまくっています。が、まずは現状を見てもらうため我が家へ同行してもらうことに・・・。
リンダはその状況を写真に撮り、私たちを、同行した社員とともに元の所有者との契約時に相手側の弁護士として仲介に関与した人物に会いに行くよう手配してくれました。
その事務所は、ココの町に入ってくる1本道の坂を下ってくる途中の左側に在りました。
3年前、その顔は・・・、ええっ、確かに契約時に対面した覚えがあります。
あの時は「非常に若い、精悍な感じがする弁護士さんだなっ。」と感じたのですが、今は頭にかなり白い物が混じり、体重も裕福である現状を指し示すかのごとく、体全体の輪郭をかなり拡張していました。
このコスタリカ人弁護士は英語も話せるようですが、スペイン語も英語も覚束無い私たちには、とても専門的な会話など出来るはずも無く、サンホセの友人に電話で話を聞いてもらうことにします。
普段生活する分には何の支障も無いのですが、お役所関係や法律関係が問題になるときには、たしかに堪能な語学力が必要になりますね、まっ、それほど機会が多いという訳では有りませんが。
私たちも、このサンホセの友人が居なかったら、今頃はかなり厳しい状況に置かれていたかもしれません・・・、色々な事件が有ったし・・・。
この弁護士の話によれば、不動産会社も自分自身も物件売買時に仲介に立ち会っただけで、契約が終了している以上、もうその後の如何なるトラブルにも責任は生じない・・・、という旨の話でした。
『おいっ!!、一体どうなっているんだよ!!、私たちはあの看板を信用して家を買ったのに・・・、いい加減なものを売っておいて後は知りませんっ、て、そりゃないだろうっ!!。弁護士だっていい加減な物件に携わっておいて、後は責任がないとはどう言うことだっ!!!一体全体この国の法律はどうなっているんだっ・・・???。』
こういう前提の下でということか、弁護士も不動産会社も私たちには協力的な姿勢は示してくれているのですが、例えば相手側が強行にフェンスをブルトーザーで打ち崩しても、それは私たちと相手側とで話し合って解決してくれ・・・、と、そう言うことのようです。

西側工事の資材置き場
今、サンホセの登記所から我が家の周辺と敷地の見取り図を取り寄せているのですが、私たちはこれから一体どういう状況に置かれてしまうのでしょうか・・・。
まさかこんな事態に巻き込まれるとは・・・、TVの法律バラエテイーじゃないんだし・・・。
とにかく気を引き締めて掛からねば成りませんね、「自分たちのことは自分たちで守るしかない!!」、と言うことのようです。
昨日、ビザが切れてしまうので、またニカラグアへ更新しに行ったのですが、こんな状況下に家を開けておくことは極力避けたかった為、出国拒否を覚悟の上で2時間の滞在の後、再びニカラグアの入国管理事務所を尋ね、〔ニカラグアでビザ更新の場合3日間は滞在しなければならないという法律は勿論知っていましたが・・・〕、背に腹はかえられず、気は引けましたが係官に【袖の下10ドル】を握らせて何とか出国し、その日のうちにコスタリカの我が家に舞い戻ってきました。
居ない間に、家を乗っ取られてしまう訳にはいきませんから!!。絶対に!!。
我が家で飼っているニワトリ7羽のうち、なんと3羽が近所の犬たちに食い殺されてしまいました!!。しかも全部が雄鶏、あの巨大狂鶏『肉丸』も含めて・・・。
雌鳥はすべて生き延びています。
やはり、どんな状況下に置いても女性の方が生命力が強いのですかね・・・?。