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45歳からの老後 in コスタリカ

『45歳からの老後』〓非想非非想天的コスタリカ移住生活〓

弁護士は神父さん

我が家の庭で結婚式

痛風仲間?のルイスの奥さんベジーとその次女レベッカが、2週間ほど前、ベジーご愛重レンガ色の中国製スクーターに親子二人して跨り、今にも降り出しそうな雲行きの午後3時過ぎに我が家を訪ねてきました。
もっとも先日入り口ゲートを構築した際、電線を引くのが面倒でチャイムを取り付けておらず、もっぱらAJIとSAVAの吠え立てる声で来客を確認するぐらいが関の山、この時もしばらくは二人に気付かず、ベジーが忙しなくスクーターのホーンスイッチを乱打し続けていました。
「Que Pasa(どうしたの?)?」と尋ねる私に、何やら私たち夫婦に折り入って相談があるとのこと、とにかくゲートを解錠してちょっぴり神妙な面持ちの二人を家の中に案内し、カミさんを交えて4人がテーブルに着くと「Que Pasa?」と再び尋ねてみました。
意を決した様にベジーが椅子の背もたれから弾みを付けて背中を起こすと、「実は近々レベッカが結婚する事になったんだけど、その式をこの家で挙げさせてくれないか?」と幾分言い辛いといった体で告げてきました。
臨月間近を思わせるすっかりお腹が大きくなったレベッカが後を継ぎ、「来週の日曜日の午後3時から2時間ぐらい、この庭を使わせてほしいんだけど・・・」 再びベジー「家は庭が狭いし交通量が多い道路に面しているから危険だし、マリソール(長女)の家はニワトリがいっぱいでうるさいし邪魔、リヒア(親戚)はカリフォルニアの旦那さんの実家に行っていて留守。ここは広いし静かだし・・・、それに身内だけのささやかな式だから、そんなに迷惑は掛けないから」

痛みをこらえるルイス

コスタリカでは見晴らしの佳い高台や景色の好い海岸、趣のある池の畔など、雰囲気の良い場所で結婚式を挙げているのを度々目にします。
その場に質素な祭壇(例えば海辺では落ちている流木を組み合わせそれに白いリボンを結んだだけのもの。これがけっこう洒落ている)を作り、参列者の為にプラステック製のガーデンチェアを並べただけの会場ですが、質素でもほのぼのと温かく、皆の心がこもっていて、誰もが心からお祝いをしている様子を見ると、これが本来有るべき結婚式の姿だな・・・などと感じてしまいます。
二人に向かい、もちろんそんなことは厭わないと告げると、二人とも肩の荷を下ろした様に、それまで手を着けていなかったテーブル上の缶コーラをゴクゴクと飲み始めました。
当日、まず午後1時にベジーが椅子とテーブルを借りてきてセッテイングするとの事、式はワインを少しだけ出すだけで後はソフトドリンクと軽食で済ませる予定だそうで、カミさんが「ワインと料理は少し助けるわよ」と進言するとさらに顔が緩み、二人して胸を撫で下ろすようにして帰って行きました。
そして当日。
前日に時間を早めて午前10時にセッテイングに来ると電話があり、私たちもそれに合わせて準備をして待ちます・・・が、いつまで待っても誰も姿を見せません。結局、午後2時近くになってようやくレベッカと新郎、それに姪のマリアフェルナンデス(9才)がやって来て海辺の簡易デイスコから借りてきたガーデン用プラスチック製の椅子とテーブルを組み立てセッテイングし始めました。
まっ、いつもの調子です。
レベッカと新郎が会場の設営やウエデイングケーキ、軽食(マシュマロにコンデンスミルクを掛けて削りココナッツをまぶした物や黒砂糖を使ったコスタリカのお菓子など)の準備をしている間、私はマリアフェルナンデスのお手伝い。テーブルや周辺に飾る白い風船を酸欠になりながら50個ほど膨らませ頭がフラフラに・・・。

弁護士立ち会いのもと

そうこうしているうちに新郎新婦は着替えに帰るとのこと、3時にはすでに30分を切っています。
3時を過ぎる頃からちらほらと、自転車に乗ってやってくる者、歩き、タクシーで、など三々五々と集まりだしますが、全員そろった頃にはすでに午後4時を回っていました。
まっ、いつもの調子です。
最後に到着した女性アボガド(弁護士・果実のアボガドはアグアカテと言います)の立ち会いのもと、いよいよ式の始まりです。
コスタリカでは、もちろん神父さん立ち会いの教会式の結婚式も有りますが、新郎新婦の宗教・会派が違うなどの場合、神父ではなく弁護士を立会人として式を挙げます。またもう一つ理由を挙げれば、それは金銭的な理由。
世界中どこも同じなのでしょうか、宗教関係者への支払いは向こうからの金額提示が無い分、返って高く付くらしく、弁護士を雇った方が安上がりらしいのです。
また弁護士側も、結婚式は頻繁に依頼される仕事の一つで、婚姻届の調印のほか、神父さんよろしく宣誓や指輪の交換を示唆したり、更に新郎新婦に対して(もちろん列席者にもアピールするように)一席ぶつのですが、その際ユーモアとペーソスを上手く盛り込み、皆を沸かせたりホロリとさせる話術が長けている人物(エンターテイナー)ほど人気が高く、彼方此方の式に引っ張りだこだそうです。
今回の式の女性アボガドもサービス精神満載で、新郎新婦に対し「結婚後、妻がどんなに太っても愛し続けなることを誓いますか?」とか、「夫がどんなに遅く帰ってきても温かい食事を出してあげなさい」などと会場から爆笑を誘っていました。
ほのぼのとした何とも微笑ましい、爽やかな式でした。

指輪の交換

そしてアボガドが帰り、いよいよ披露宴開始と言うときになって、肝心要の新婦の父であるルイスが「もう帰る」と言い出すではありませんか・・・。
このルイス、実は2週間ほど前から痛風の発作が出ていて足を引きずりながらの列席だったのですが、ここへきてもう我慢の限界、どんなに勧めても、あの酒好きのルイスがワイン一口さえも口を付けず、苦痛に喘ぎながら顔を顰めています。
私が服用している痛風の薬と鎮痛剤を受け取ると、長女の婿であるマロンにスクーターで自宅に送ってもらうことに。いやはや何とも・・・。
かくして、日本の結婚式では重要な役柄を果たす筈の人物が居なくなったにも拘わらず、誰も気に留める様子もなく(私たち以外?)、宴はゆっくりと流れてゆきます。
二時間でお開きの筈の結婚式が・・・、気が付けば最後の列席者が我が家を後にしたのは午後11時に成ろうとする頃。
ワイン2本だけの筈が、いつの間にか十数本もの空瓶が・・・、ビールは要らないと言っていたのに、どういう訳か冷蔵庫から3ダース以上の缶ビールが消えていました。
まっ、いつもの調子です・・・が。