カゾク・コドモ

「家族」を起点に、
みんなが成長する仕組みづくり

スタンス 人と人との関係性から、
仕事が生まれる

アソブロックが手がける「カゾク」の仕事は、子どもと家族を取り巻く環境を、よりよくしていく取り組みだ。ワークショップにイベント、ツール制作など、アウトプットの方法は幅広いけれど、目指すのは一貫して“子どもと家族が幸せになること”。そして、その過程には自分たち大人の成長もあると、メンバーは語る。そんな仕事はまず、どのように生まれるのだろうか。

下島:カゾクのプロジェクトが始まるには、大きく2つのパターンがあります。ひとつは、保育園や幼稚園などから相談を受けて、最適な制作物を考える“受注”型。もうひとつは、自分たちが見つけた課題を解決するためにプロジェクトを起こす、いわば“自主”型です。カゾクの代表的な事例になるのは、どちらかというと後者が多いかもしれません。クライアントと話をするなかで浮かび上がってきた課題に、発注者&受注者という枠を超えて、「一緒に作っていきましょう」という姿勢で向き合うんです。その関係性ができると、仕事も「何かをつくって終わり」ではなくなります。

やまさき:ご一緒することが多いのは、保育園や幼稚園の園長先生。なんとなく課題感があるけれど、具体的にどうしていいかわからない、という方々が少なくありません。そこで、ディレクターの下島さんが実際に話を伺いに行ってみる。すると、パンフレットのご依頼を受けたけれども、本当に必要なのはイベントかもしれない、と話が展開したりするわけです。私たちにとって、なにか「ものをつくる」というのはゴールではありません。まずは、先生方の抱えていらっしゃる“もやもや”を共有する、コミュニケーションが大切だと思っています。

下島:僕たちが園長先生から求められていることの一つは「これって少し違いませんか?」と、違和感を指摘することだったりします。ずっと保育や幼児教育に専念していらっしゃる先生方にとって、僕たちみたいな外の人間の視点は、意外な風を吹き込むことがあるようで。だから、先生方と直接お話をすることは、お互いにとってとても大切な時間なんです。やはり、顔を合わせて話し合うことで見えてくるものが、すごく多い。そこはカゾクブロックならではの、人と人との関係性が重視される部分かもしれません。

ケース1 家族の絆をやさしく深める
『おやこんぼ』

そのようにして生まれた事例のひとつが『おやこんぼ』だ。園長先生と雑談をするなか、たびたび話題にのぼる「家族の絆の希薄化」に対して、親子で過ごす時間をつくるためにできたプロジェクト。名前は“親子”と“コンボ”(小楽団)をかけ合わせた造語だという。

下島:子育て支援が充実して、保護者が働きやすくなった一方で、家族で過ごす時間が失われてきている側面もあります。それは、社会全体の問題ですよね。でも、その大きな課題に対して、幼稚園発信で何かをしたい、というのがこのプロジェクトの始まりでした。親子の時間が大事なことはみんなわかっているけれど、なかなか時間がとれない。じゃあ、具体的な仕組みを作ってしまおうという発想で、毎月15日を「おやこんぼの日」と設定しました。「この日はいつも頑張ってくれている(いつも観ている)テレビに休んでもらって、そのぶんの時間を親子で過ごしましょう」という提案です。一緒に絵本を読むでも、お料理をしてみるでもいいから、その家庭でできる範囲の“おやこんぼ”を自由にしてもらう。何をしたかカードに書いて幼稚園に出すと「よくできました」みたいなスタンプがもらえます。

アソブロックは幼稚園と協力して、そんなきっかけづくりに関わります。でも、主体的に取り組んでいただくのは、その先にいる各家族。だからこそ「親子の時間を作りなさい」と難しい課題だけを示すのではなく「みんなで楽しく取り組んでみましょう」という仕掛けを支援しているんです。2007年から始まり、いまは静岡県と埼玉県の幼稚園がおもに取り組んでくださっています。

やまさき:昨年は沼津市で『おやこんぼフェスタ』というイベントも開催されました。幼稚園や協賛企業がブースを出展して、近くに住むお子さんや家族が訪れ、丸一日“おやこんぼ”を楽しむイベントです。私たちも自分の子どもを連れて行って、ワークショップの運営を手伝ってもらいました。一日店長を務めたうちの子はとても楽しかったようで、後日お友達に「私、お店屋さんやったよ」と自慢するほど。関係者全員が主体的に取り組むことでみんなが成長していく――その感じが、とてもアソブロックらしいプロジェクトだと思いました。

やまさき:アソブロックのクリエイティブで大切にしていること、それは「子どもにこそ本物を届けたい」という想いです。その志に賛同してくださる園長先生たちとやり取りさせてもらっているのが誇りです。

下島:僕たちは普段、仕組みの先にいる保護者とやりとりしていないので、『おやこんぼ』がどれくらい浸透しているか確かめることができません。でも『おやこんぼフェスタ』には1万人規模の来場者が訪れていて、自分たちの取り組みが届いていることを、改めて実感できました。

ケース2 いつまでも読み継がれる、
子どもと家族の本づくり

カゾクブロックが扱う、もうひとつの事業が出版だ。“子どもと家族を想う出版社”というコンセプトを掲げ、いつまでも読み継がれるような本を届けることで、家族の支援を目指している。

やまさき:出版部門の目的は、本というコンテンツを通じて、家族や親子、子どもや教育という本質的なものに向き合うこと。“家族支援”というテーマにぴったりくる内容が見つかったら、本にしていきます。なので、Webサイトに「『潰れたのかな?』と思ったころに新刊が出ます」とあるくらい、出版はスローペース。だけど、絶版はしないんです。ずっと読み続けられる、時代に左右されない本をつくるというテーマが、念頭にあります。

濱口:代表的な出版物は、児童相談員を務めていた団士郎さん(代表・団の父)が執筆する『木陰の物語』。さまざまな家族のエピソードを紹介している、漫画エッセイです。多くの物語にふれ、思いを巡らせることで、家族について考える“練習問題”のような役割を果たしてくれます。これは読めば読むほど、どの世代にも必要なメッセージだと思える内容で……いつだって成長できるし、家族と向き合える、と感じます。たとえば、就職活動をしているような年代にも響くかもしれません。子どもや教育をテーマにはしているけれど、そんな本をなるべく多くの人々に届けたいなと思いながら、出版部門を運営しています。

やまさき:それから、園長先生が書かれる本を出版することもありますね。先生の伝えたいメッセージが、私たちの出版社でもその著者を通して発信したいことだなと思えたら、制作がスタートします。

下島:率直な話し合いやこれまでに作ってきたさまざまなコンテンツの積み重ねが、園長先生方との信頼関係につながるんですよね。それが最終的に、本というかたちで世に出ることもある、と感じています。

ビジョン 子どもも自分も
成長していくための仕事

すぐに結果の出る成果や数字だけを追うのではなく、根底にある想いを共有しながら、幼稚園や保育園、さらには各家庭とも積極的に関わっていく「カゾク」の仕事。最後に、この場所で働くことの意義、アソブロックのテーマでもある“成長”について尋ねた。

やまさき:私は12年間もアソブロックにいて、その間に結婚も出産もしているけれど、成長したいという気持ちは変わりません。いくつになっても学びたいとか、勉強したいとか、人の役に立ちたいという本質がある。その本質がぶれないように自問自答できる環境が、アソブロックにはあるんです。

濱口:それに、よりよいものを作ったり、素敵な本をうまく届けるためには、自分が成長するしかないなと思うんです。だから私は、日々働きに来るというより、学びに来るみたいな気持ち。そもそもアソブロック自体が“人の成長”のために存在していて、カゾクではその信念を“家族支援”という切り口で届けているけれど、本質はどのブロックも同じだと思っています。

下島:子どもは、昨日できなかったことが今日できるようになったら、純粋に喜びますよね。カゾクの仕事でそういう姿を多く見るうちに、自分も日々成長したいと思うようになりました。カゾクで取り組んでいる仕事は、本質的な課題に向き合っているため、そんな成長のきっかけになる事例がとても多いと感じます。自分と仕事の関係を突き詰めたり、クライアントと人間同士の付き合いをしたり……そうやって双方向に刺激し合い、関係者全員で成長していくことが、アソブロックの理想とする仕事なのかな、と思っています。

カゾク・コドモのプロジェクト紹介

  • おやこんぼ

    愉快な親子時間を提案する”をモットーに活動するプロジェクト。静岡の保育園・幼稚園を中心に活動中。親子の絆を深めるための取り組みの活性化をめざす。

  • 木陰の物語転載

    団士郎氏執筆の漫画エッセイ『木陰の物語』。その一部のエピソードを幼稚園等が発行する機関紙等に転載し、家族を生きる深さと豊かさの学びの時間を創っています。

  • 園長フォーラム

    私立幼稚園の園長および先生方が主体となって運営するイベント。就職活動をする学生たちに向けて、幼稚園についてのより詳しい情報提供の場として運営しています。

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