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第67回 11月12日(土)
会場:東京海洋大学 品川キャンパス 白鷹館




通算67回目の家族理解ワークショップ(東京開催)は、16名の方にご参加いただきました(初参加の方は9名)。その様子をレポートします。

【オープニングトーク&セッション1】

オープニングトークは、毎回扱う題材を変えながら、このワークショップで学ぶあらゆることの基礎となる、家族システム論について話があります。

ワークショップには、児童相談に関わる人、ケアマネ、医療関係者、学校や幼稚園保育園の先生、法曹関係者、カウンセラーなどあらゆる年代の「人に対してサービスを行う人(対人援助サービスと総称)」を中心に、一般家庭のお母さんやお父さん、将来対人援助職への就業を考える学生さんまで色々な人が集いますが、そこで共通に役立つ考え方として学んでいるのが、「家族システムへの介入による解法」です。

「家族システムへの介入による解法」とは、問題とされる個人の内面に焦点を当てるのではなく、個人の持つ関係性、中でも家族という万人が共通で持つ関係性に焦点を当て問題解決を図ろうという考え方です。言い変えると「部分はいつも全体の中にある」と考え、全体(家族の関係性)に変化を与えることで部分(問題とされている事象)を解決に導こうとすることです。

例えば不登校の問題解決を検討する際に、不登校児の心の在り様に焦点を当てるのではなく、不登校児の家族の関係性に焦点をあて、その関係性に変化や刺激を与えることで、結果的に不登校状態が続かない状況をつくっていこうとします。

講師は、繰り返しこう言います。

「大事なのは原因を究明することではなく、課題解決に向けた具体的な作戦を授けること。家族という集団には、解決に向かう力必ずあると信じること。専門細分化が進むと、援助者自身も全体を見る力が弱まり、結果的に問題解決力が弱まることがある。専門性は、家族理解(全体を見る力)の上にあるものに過ぎないと自制すること」

対人援助職者は、初対面の際に、まずは相手に「そんな風に私(たち家族)を見てくれている人がいると思うと、少しは頑張れる気がします」と思ってもらうことが大切です。そんな信頼獲得に向けた具体的な行動が、家族理解です。

今回は、生徒も先生も「行くのが嫌だ」と思う人が増えている「学校」の現状に触れながら、その中で増え続ける専門職の在り方について話がありました。「正しいことは1つだが、役に立つことは無数にある」と語る講師は、専門職を増やすことで問題が細分化し、結果的に問題や課題が固定化してしまうことを危惧します。「代わりにする、してあげるのは下の下の支援だ」という言葉には、参加者一同心動くものがありました。

【セッション2】

セッション2は恒例で「参加者の3分間トーク」を行います。

普段の人付き合いが、職場の同僚を中心にどうしても固定化してしまう傾向がある中で、同じヒューマンサービスの職に携わりながらも、対峙する相手や取り扱う問題がまったく違う人と輪になり「最近私の周りでは…」とお互いに報告します。今回は運営スタッフを含め6人グループに分かれて行いましたが、それはつまり、近接領域で今起こっているいくつもの話が同時に聞けるということです。

学校や病院や介護の現場、家庭や学生たちの間で起こっている問題。それぞれは個別的でも、同じ社会を構成する人に起こっている問題であることに変わりありません。そして、それぞれが本当にまったく無関係かというと、実はそうでもないことが多いのです。

幼稚園で起こっている問題が、形を変えて高齢者の現場で起こることがあります。保護観察所の中で起こっていることが、そのまま現代の家族に置き換えられる出来事だったりもします。それらを聞きながら、整理し、改めて自分の現場や家庭で役立ててもらおうというのが、このセッションの目的です。

3分の話を聞いた後は、それをネタに7分間、メンバーでディスカッションします。すると、そこで起きている問題や課題がより明確化したり、あるいはメンバーの意見を聞くことで、発表者が事実をこれまでと違う視点から見られるようになったりします。参加前は「この3分間トークが不安で…」とおっしゃる方も時々いらっしゃるのですが、実際にやってみると、なんてことはない職場や家庭での雑談を、普段とは違うメンバーで行う感じで楽しいのですよ。

【セッション3】

セッション3は、三人一組になって「家族面接(インタビュー)」の演習でした。

テーマは「あなたの家族においての最近の大きな変化といったら何を思い出しますか?」というもの。グループごとに、インタビュアー、インタビュイー、観察者に分かれ、まずは所定時間(10分)、テーマを意識しながらインタビュアーがインタビュイーに話を聞きます。時間が来たら、感想タイム。まずは、観察者が「見ていてどうだったか」を伝え、そこから三人であれこれ感想を言い合いました(7分)。



今回のポイントは、家族の決め方(パワー)のパターンを探ってみること。問題を抱える相手に変化を提案をする際には、内容の変化よりも、形式の変化の方が難度が低いと講師は言います。その変化が付けやすい形式のひとつに「家族の決め方」があると言います。

例えば、家族に問題や課題が出たときに「最後はお父さんが決めて」といつもお父さんが何かしら方向性を考えるような家庭の場合。それで上手く言っていれば何も問題はありませんが、もしそれで上手くいっていないのであれば、「いつもはお父さんが決められるでしょうが、今回はお母さんが決めてみてください」いうようなアドバイスをすることで、相手家族には「何かしらの変化」が起こるということです。

当事者にとっては「当たり前」になってしまっている「家族の特徴」に少し変化を起こすこと。その変化の影響は、家族全員が何かしら受け、その結果、問題が解決に導かれることもある。ざっくり言えば、これが「家族システムへの介入による解法」の一例です。

【セッション4】

セッション4は「事例検討」でした。

「事例検討」は講師が実際に担当、あるいは見聞きしたケースについて、その処遇をみんなで話し合うプログラムです。場に出されるケースは、相談が進行中のケースも多いため詳細は伏せますが、板書された情報(ジェノグラム)を見ながら、最初は一人で、次にグループになり、この家族は「どんな家族なのか」さらに、「どんな具体的援助ができるか」のアイデアを出し合います。

それぞれのグループで出たアイデアは、場に出され、共有され、さらなる意見交換を積み重ねながら各人に蓄積されていきます。最後に講師が「私はこう考えます(考えました)」ということを話すのですが、もちろんそれが正解なわけではありません。

あらゆるアイデアは可能性に満ちています。援助者として大切なのは、たくさんのアイデアを出し、具体的な変化を来談者(や自分の家族)にもたらしてあげることです。人を援助する方法に「法則」や「シナリオ」はありません。100のケースに100の解法があることは、誰もが感じていることだと思います。だからこそ、こういう場で事例検討を通じて「いつもの私では思いつかないような」アイデアに触れ、蓄積していくことに意味があります。

事例検討で話し合われているのは、「起こったこと」ではなく「起きそうなこと」です。私たちは、いざとなると「起こったこと」に集中して議論してしまう傾向がありますが、ここでは「起こっても不思議ではなかったこと」を中心に話します。起こってもよかったことが起きなかった要因は、単に「運がよかった」だけなのか? それだけでもないのではないか? 実は、起こらないように何か工夫されていたことがあるのではないか?

現役時代のイチローがほとんどケガをしなかったのは、単に「運がよかった」だけでないことを誰もが知っていますが、家族においても「起こってもよかったことが起こらない」背景に、秘められた何かがあるのではないか? そのことを考えるのは十分価値があると捉えて取り組むのが、事例検討のひとつの意味だと思います。

そんなこんなで、あっという間の6時間。
今回も納得と笑いが絶えないワークショップでした。

次回は、2月11日土曜日に開催します。
専門職の方から、お母さん・お父さんまで、次回もたくさんの方のご参加を、お待ちしています!

※文中に出てくるケースや実例の内容等は、実際の講義と一部変更している場合があります

文責/団遊
【今回の参加者の職業・所属等】

主婦、企業人事採用、社会福祉士、児童相談所、幼稚園(園長)、幼稚園(教諭)、中学校教員、地域包括支援センター、保健師、教育委員会、家庭裁判所調査官補、地方公務員、会社員

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